育休の「手取り10割」は、誰がもらえるのか
2025年4月に出生後休業支援給付金が始まりました。育児休業給付金の67%に13%が上乗せされて合計80%になり、給付金は非課税で社会保険料も免除に なるため、働いていたときの手取りとほぼ同じ額になる——これが 「育休の手取り10割」と呼ばれているものの中身です。
ただし、誰でも自動的にもらえるわけではありません。 条件は5つあり、とくに「夫婦それぞれが14日以上の育休を取る」という点で外れる人が 多くいます。ここでは上から順に確認できるようにしました (令和8年8月1日〜令和9年7月31日の制度・2026年9月5日確認)。
5つの質問で確認する
上から順に「はい」が続けば対象です。どこかで「いいえ」になったら、その下の 例外リスト(02)に当てはまらないかを確認してください。
Q1. あなたは雇用保険の被保険者ですか?
会社員・パート・契約社員などで雇用保険に入っていれば「はい」です。 自営業・フリーランス・役員のみの方は雇用保険の被保険者ではないため、 この給付金の対象になりません。育児休業給付金そのものも対象外です。
Q2. 育休を取る時期は「子の出生直後」ですか?
対象期間が決まっています。父親は子が生まれた日から8週間以内、母親は産後休業が終わった日の翌日から8週間以内です。 母親は産後8週間が産後休業なので、実質的には出生から約8週間後〜約16週間後が対象期間になります。 この枠の外で取った育休は、日数に数えられません。
Q3. その期間の育休は通算14日以上ありますか?
対象期間内に取った育児休業(産後パパ育休=出生時育児休業を含む)が 通算で14日以上必要です。連続している必要はなく、分割して取った場合も 合算できます。13日で終えると1円も出ないので、取得日数を決めるときは14日を下回らないようにしてください。
Q4. 配偶者も同じように14日以上の育休を取りますか?
この給付金は「両親がそろって子の出生直後に休むこと」を後押しする制度なので、 原則として配偶者も対象期間内に通算14日以上の育児休業を 取ることが条件です。ここで外れる人が最も多いポイントです。 当てはまらない場合は、次の例外リストを確認してください。
Q5.(Q4が「いいえ」なら)例外に当たりますか?
配偶者の育児休業を要件としない例外が7つ定められています。ひとり親、 配偶者が無業、配偶者が自営業者などです。詳しくは下のリストを確認してください。
全部「はい」だった人へ。あなたの給付額は「休業開始時賃金日額 × 出生後休業の日数(最大28日)× 13%」です。賃金日額が上限の16,540円なら60,205円が上限になります。実際の金額はシミュレーターで自分の月給を入れて確認してください。
配偶者の育休が要件にならない7つのケース
次のいずれかに当てはまる場合は、配偶者が育児休業を取っていなくても、 あなた自身が条件を満たしていれば支給されます。
- 1. 配偶者がいない(ひとり親)
死別・離婚・未婚のひとり親など。申請には、児童扶養手当の受給を証明する書類など、ひとり親向けの公的制度を利用していることが分かる書類を求められます。 - 2. 配偶者が子と法律上の親子関係にない
再婚相手が子と養子縁組していない場合など、配偶者がその子の親でないケース。 - 3. 配偶者から暴力を受けて別居している
DV等を理由に別居中で、配偶者の育休取得を前提にできないケース。 - 4. 配偶者が無業者(働いていない)
いわゆる専業主婦・専業主夫。そもそも育児休業を取る勤務先がないため、要件から外れます。 - 5. 配偶者が自営業者・フリーランスなど雇用されていない
雇用保険の被保険者ではないため、育児休業という制度自体の対象外です。 - 6. 配偶者が産後休業中
母が産後休業中の期間は育児休業ではないため、この期間は要件から外れます。 - 7. 上記以外の理由で配偶者が育児休業をすることができない
重い疾病・傷害で子を養育することが困難な場合など。個別の判断になるため、勤務先またはハローワークに確認してください。
例外に当たることを示す書類(ひとり親向け公的制度の受給証明、配偶者の状況が分かる 書類など)の提出を求められます。何が必要かは勤務先の担当者、または管轄の ハローワークに早めに確認しておくと手続きが止まりません。
誤解しやすい4点
「育休の手取り10割」とは、給料が満額もらえるということですか?
満額が給料として払われるわけではありません。育児休業給付金67%に出生後休業支援給付金13%を足した80%が給付され、その80%が非課税で社会保険料も免除されるため、「働いていたときの手取り」とほぼ同じ額になる、という意味です。額面の100%ではなく、手取りベースで100%相当という表現です。また住民税は育休中も納めるため、住民税の分だけは実際に手元に残る額が減ります。
13%の上乗せは、育休のあいだずっともらえますか?
いいえ。出生後休業支援給付金は最大28日分までで、子の出生直後の限られた期間が対象です。29日目以降は育児休業給付金の67%(180日目まで)だけになります。したがって「手取り10割」の状態が続くのは、最初の最大28日間だけです。
夫婦のどちらか片方だけが育休を取った場合はどうなりますか?
原則として対象になりません。出生後休業支援給付金は、本人と配偶者の両方が子の出生直後に14日以上の育児休業を取ることが条件です。ただし、ひとり親である、配偶者が無業である、配偶者が自営業者であるなど、配偶者の育休を要件としない例外に当てはまる場合は、片方だけでも支給されます。
14日は連続していないといけませんか?
対象期間内の通算で14日以上あれば要件を満たします。産後パパ育休(出生時育児休業)を分割して取得した場合も通算されます。ただし対象期間そのものが、父は子の出生後8週間以内、母は産後休業が終わった後の8週間以内と決まっているため、この枠の外で取った育休は日数に数えられません。
取り方を決めるときの考え方
条件を知ったうえで「実際にどう取るか」を決める材料を挙げます。断定はできないので、 自分の家庭の状況に当てはめて判断してください。
- 14日は最低ライン。1日でも足りないと13%はゼロになります。 仕事の都合で日数を削る話が出たら、14日は守れるかを先に確認する。
- 28日を超えて取っても13%は増えません。上乗せは最大28日分です。29日目以降は67%だけになるので、 「上乗せがあるうちに」という理由で無理に長く取る必要はありません。
- 母親は産後休業のあとが対象期間。出生直後に取ったつもりでも、母親の場合は産後休業(産後8週間)が先に来ます。 対象期間の起算点が父と母で違う点は勘違いが多いところです。
- 夫婦で交代すると67%期間を延ばせます。育児休業給付金の67%は人ごとに「その人の育休開始から180日目まで」で数えます。 片方が180日を使い切ったタイミングで交代すると、交代した側は67%から始まります。
- 産後パパ育休の給付金とは別物です。産後パパ育休(出生時育児休業)に対しては出生時育児休業給付金(67%)が出ます。 出生後休業支援給付金の13%は、それにさらに上乗せされる別の給付です。
支給の可否は最終的にハローワークが判断します。個別の事情がある場合は、 勤務先の担当者または ハローワークインターネットサービス「育児休業給付」↗ でご確認ください。当サイトは支給を保証するものではありません。