育児休業給付金の計算方法
育児休業給付金は「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 支給率」で決まります。 ここでは、その3つの数字をどう出すのか、どこで金額が変わるのかを順番に説明します。 数値は令和8年8月1日〜令和9年7月31日に適用されるもので、2026年9月5日に公式資料で確認しています。
休業開始時賃金日額を出す
すべての計算の土台になる数字です。育児休業を開始した日の前6か月間に実際に支払われた賃金の総額を、180で割ります。
休業開始時賃金日額 = 育休開始前6か月の賃金総額 ÷ 180 例)額面月給30万円で6か月とも同額だった場合 300,000 × 6 = 1,800,000 円 1,800,000 ÷ 180 = 10,000 円/日
- 賞与(ボーナス)は含めません。月々の給与と手当が対象です。ここを含めて計算すると金額を多く見積もってしまいます。
- 通勤手当・残業代・役職手当などの手当は含めます。賃金として支払われたものが対象です。
- 賃金が支払われなかった月がある場合は、その月を除いて 直前の月にさかのぼって6か月分を数えます(産前産後休業中など)。
- 月給が一定なら、結果は「月給 ÷ 30」と同じ数字になります。 当サイトのシミュレーターもこの前提で計算しています。
上限額・下限額を当てはめる
出した賃金日額には上限と下限があります。ここを超える場合は、 上限額・下限額に置き換えて計算します。
| 項目 | 金額 | 意味 |
|---|---|---|
| 休業開始時賃金日額の上限 | 16,540 円 | 月額に直すと496,200円。額面月給がこれを超えても 給付額は増えません。 |
| 休業開始時賃金月額の下限 | 96,090 円 | 日額に直すと3,203円。これを下回る場合は 下限額で計算されます。 |
| 支給限度額(支給率67%) | 332,454 円 | 1支給単位期間(30日)あたりの上限。 |
| 支給限度額(支給率50%) | 248,100 円 | 181日目以降の1支給単位期間あたりの上限。 |
| 出生時育児休業給付金の上限 | 310,290 円 | 産後パパ育休(出生時育児休業)28日分の上限。 |
| 育児時短就業給付金の支給限度額 | 471,393 円 | 時短勤務中に支払われた賃金に対する上限。 |
これらの額は毎年8月1日に改定されます。毎月勤労統計の平均定期給与額の増減にあわせて見直されるためです。 上の金額は令和8年8月1日〜令和9年7月31日に適用されるもので、 次回改定は2027年8月1日です。 どの額が使われるかは育児休業を開始した日で決まります。
支給日数と支給率をかける
育児休業給付金は「支給単位期間」ごとに計算されます。支給単位期間とは、 育休開始日から1か月ごとに区切った期間のことで、原則として支給日数は30日です。
育児休業給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 支給率
支給率 開始から180日目まで … 67%
181日目以降 … 50%
例)賃金日額10,000円・支給日数30日
180日目まで : 10,000 × 30 × 0.67 = 201,000 円/月
181日目以降 : 10,000 × 30 × 0.5 = 150,000 円/月180日は「その人の育休開始日」から数えます。夫婦それぞれが別々に数えるので、片方が180日を使い切ったところで交代すると、 交代した側は自分の育休開始日から数え直して67%から始まります。 1年以上休む家庭では、この交代のさせ方で受け取る総額が変わります。
育休中に就業した日がある場合や、会社から賃金が支払われた場合は、支給額が 減額されたり支給されなかったりします。支給単位期間中に就業した日数が10日 (10日を超える場合は就業した時間が80時間)以下であることが支給の条件です。
出生後休業支援給付金(13%上乗せ)
2025年4月に始まった給付です。条件を満たすと、育児休業給付金の67%に 13%が上乗せされて合計80%になります。
出生後休業支援給付金 = 休業開始時賃金日額 × 出生後休業の日数(上限28日) × 13% 例)賃金日額10,000円・28日 10,000 × 28 × 0.13 = 36,400 円(1回限り)
対象になるかどうかは条件が細かいので、手取り10割の条件のページで5つの質問に 答えて確認してください。
なぜ「67%」なのに手取りは8割になるのか
育休中は差し引かれるものが減ります。ここが「額面の67%」と 「手取りの約80%」のズレの正体です。
| 引かれるもの | 働いているとき | 育休中 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | かかる | 免除 | 育児休業等期間中の保険料免除(本人分・会社分とも) |
| 厚生年金保険料 | かかる | 免除 | 免除されても、将来の年金額の計算では保険料を納めた扱いになります |
| 雇用保険料 | かかる | かからない | 賃金が支払われないためそもそも発生しません |
| 所得税 | かかる | 非課税 | 育児休業給付金は非課税所得です |
| 住民税 | かかる | かかる | 前年の所得に対する課税なので、育休中も納めます |
働いているときは、額面から社会保険料(本人負担分)が引かれます。令和8年度(2026年度)・協会けんぽ東京支部の率で計算すると、40歳未満で約14.7%、介護保険料がかかる40歳以上64歳以下で約15.5%です。内訳は次のとおりです。
- 健康保険料 9.85% の労使折半 → 4.925%
- 厚生年金保険料 18.3% の労使折半 → 9.150%
- 子ども・子育て支援金 0.23% の労使折半 → 0.115%(2026年4月分から)
- 雇用保険料(一般の事業)労使合計 1.35% のうち労働者負担 → 0.50%
- 介護保険料 1.62% の労使折半 → 0.810% (40歳以上64歳以下のみ)
健康保険料率は都道府県や健康保険組合によって異なります。正確に比べたいときは、 自分の給与明細の控除額を見てください。当サイトのシミュレーターも、 この率をもとにした概算で「働いていたときの手取り」を出しています。
社会保険料が免除される条件
育休中なら自動的に全額免除、というわけではありません。月ごとに条件があります。
- 毎月の保険料:その月の末日時点で育児休業を取得している場合、または同じ月内に14日以上の育児休業を取得した場合に免除されます。
- 賞与にかかる保険料:連続1か月を超える育児休業を取得した場合に免除されます。 短期間の育休では賞与分は免除されません。
- 将来の年金への影響:厚生年金保険料が免除された期間も、 将来の年金額の計算では保険料を納めた期間として扱われます。 免除で年金が減ることはありません。
免除を受けるには会社を通じた届出が必要です。手続きは勤務先が行うのが一般的ですが、 短期間の育休では条件を満たさないこともあるため、取得日数を決める前に確認しておくと 確実です。
住民税だけは育休中も払う
見落とされやすく、そして金額が大きいのがここです。
住民税は前年1月〜12月の所得に対して課税され、 翌年6月から翌々年5月にかけて納めます。つまり育休で今年の収入が減っても、 前年に働いていた分の住民税は納める必要があります。給与から天引き(特別徴収) できなくなるため、次のいずれかの方法になります。
- 普通徴収に切り替える:自宅に納付書が届き、自分で納めます。 年4回払いが基本です。
- 会社に振り込む:会社が立て替えて納付し、あとで本人が 会社に支払う方法です。
- 育休前の給与から一括徴収する:残りの住民税をまとめて 最後の給与から差し引きます。手取りが大きく減るので事前に把握しておきたい方法です。
どの方法になるかは会社の取り扱いによります。育休に入る前に、「住民税はどうなりますか」と一言確認しておくだけで、 あとから慌てずに済みます。当サイトのシミュレーターで住民税の月額を入れるのは、 この分を必ず織り込んで手取りを見てほしいからです。
育休後:育児時短就業給付金(10%)
2025年4月に始まったもう1つの給付です。育休から復帰して時短勤務にする場合に 関係します。
2歳未満の子を養育するために時短勤務をして、賃金が育休前より下がった場合、時短勤務中に支払われた賃金の10%が支給されます。支給限度額は471,393円です。 賃金と給付金の合計が時短前の賃金を超えないように調整される仕組みがあるため、 賃金の下がり方が小さい場合は給付率も小さくなります。
「フルタイム復帰か時短か」を迷っているなら、時短の賃金に10%が上乗せされることを 前提に手取りを比べてみてください。制度の詳細と申請方法は勤務先または ハローワークで確認できます。
申請と入金のタイミング
- 申請は勤務先を通じて行うのが原則です。本人が直接ハローワークへ 申請することもできますが、多くの会社が代行しています。
- 支給申請は原則2か月に1回(2支給単位期間分をまとめて)です。 毎月振り込まれるわけではないので、家計の見通しを立てるときは注意してください。
- 初回の入金までは時間がかかります。育休開始から2か月が経ってようやく最初の申請ができ、そこから審査と振込があるため、 最初の入金までに数か月あくのが普通です。その間の生活費は育休前に確保しておく必要があります。
- 初回申請には期限があります。手続きが遅れると受け取れなくなる可能性があるため、 育休に入る前に勤務先とスケジュールを確認しておいてください。
当ページの内容は2026年9月5日時点の公式資料にもとづく整理です。 実際の支給額・支給可否・手続きの期限は個別の事情で変わります。最終的な確認は 勤務先または ハローワークインターネットサービス「育児休業給付」↗ でお願いします。